【作家訪問】堂本正樹さん(堂本陶工房)を訪ねて|化粧土の魅力と信楽でのものづくり

堂本正樹アイキャッチ画像
目次

信楽の工房で出会った、ものづくりの熱

少し前のことになりますが、昨年12月、
信楽の堂本陶工房・堂本正樹さんの工房を訪ねてきました。

今回の訪問では、普段はなかなか聞けない制作の裏話や、
堂本さんが陶芸に入られるきっかけ、そして古谷製陶所との運命的な出会いについても
じっくりお話を伺うことができました。

工房には「ものづくりの空気」が満ちている

工房の中に一歩足を踏み入れると、
そこには、本物のものづくりの現場が広がっていました。

ものづくりの現場感溢れる堂本正樹さん工房の棚

土の香りが立ち込め、バケツには化粧土や釉薬、
壁や床には土が飛び散り、棚には乾燥中のうつわがぎっしりと並ぶ——

堂本正樹さん工房、化粧土や釉薬が入ったバケツ

この空間から、たくさんのファンに愛される堂本さんのうつわが生まれていると思うと、
とても感慨深く、時間を忘れて見入ってしまいました。

堂本正樹さん工房、乾燥中のうつわがびっしり

助手の方に優しく声をかけられている、堂本さんの姿が印象的で、
そのやさしいお人柄が作品にもそのまま映し出されていると感じました。

お忙しい中、お付き合いいただきました堂本さんに感謝です。
ありがとうございました。

【インタビュー】堂本正樹さんにうかがいました

ここからは、堂本さんとの実際の会話をそのままご紹介いたします。

■ 陶芸を始めたきっかけと、古谷製陶所との出会い

店主  :うつわづくりを始められたきっかけを教えてください。

     大学では、美術を学ばれていたと聞きましたが・・

堂本さん:はい。大学時代には絵を描いていました。

     卒業後のことを考えたとき、ずっと絵を描いていくのも
     将来性を考えると、大変かと思っていました。。

     大学3年の夏に、モノづくりの盛んな信楽に行ってみました。

     昔から、造形やモノづくりが好きだったんです。

     フラッと入った信楽駅近くの食事処で古谷製陶所を紹介してもらうことができ、
     そのまま夏休みの間、3週間ほど古谷製陶所で
     アルバイトをさせてもらうことになったんです。

     そして、大学卒業後に信楽に戻り、正式に就職することになりました。

     古谷製陶所には、当時も、そして、今も若い人が多く、
     その中で切磋琢磨できる環境でした。  

■ 土との出会いと、化粧掛け修行の3年間

店主  :土との出会いはいつでしょう?

堂本さん:古谷製陶所に入ったときに、初めて土を触ったんです。

     古谷さんのところでは、土の練り方から始まり、一から学習しました。

     最初の3年間は、ずっと化粧掛だけをしていました。

     朝から晩まで、化粧の掛具合、化粧の厚さなどをとことん学びました。

     そして、夜には窯業所に通い、ろくろを学びました。

     いまだに、化粧掛の時に割れてしまうこともありますよ。

     乾燥のタイミングのみが難しいのです。

化粧掛は乾燥のタイミングがむつかしいと語る堂本正樹さん

■ 化粧土の魅力と、扱う色の種類

店主  :化粧土の魅力は?

堂本さん:化粧土の魅力は古谷さんのところで学びました。

     メインの粉引の他に、緑青・黒・紫を主に作っています。

     どんどん増えていってますね。

■ 年間のイベント参加と、東京ドームの出展

店主  :一年に何回位、イベントに参加しておられますか?

堂本さん:年に12回くらいかな。平均して月に1回参加しています。

      その中で一番大きなものは、毎年2月に行われる東京ドームのテーブルウェアです。

      イベントの時は開催期間中、ずっと常駐しています。

■ 作陶とイベント、バランスの取り方について

店主  :では、イベントと作陶でいっぱいいっぱいですね。。

堂本さん:はい、でも今年からは、もっと計画を立てながら、納品を予定通り
     こなしていきたいと思います。

■ 制作体制と、助手の存在

店主  :では助手の方を増やしていこうと・・?

堂本さん:いえ、それは考えていません。

     奥さんにもゴールデンウィークの信楽のイベント時以外は
     手伝ってもらってはいないのです。

     自分が好きでやっているので、楽しみながらやっています。

店主  :助手の方は何人おられるのでしょうか?

堂本さん:助手は1人のみです。

     陶芸を学び始めたばかりの方なので、たたら生成機で土を伸ばしてもらったり、
     型にはめてもらったりしています。

     作品作りで重要なところや、最後のポイントは自分で行います。

堂本正樹さん工房の作業中の土

■ ろくろと型の使い分け、制作方法について

店主  :ろくろよりも、型にはめて作るうつわが多いですか?

     ろくろは1台のみでしょうか?

堂本さん:はい。1人なので、ろくろは1台で十分です。

     ろくろは、主にカップを作るときに使います。

堂本正樹さん工房の一台あるろくろ

     今は、石膏型にはめて作るものが多いです。 

石膏型にはめて作る堂本正樹さんのうつわ

     型によって切れやすいものがあり、相当苦労しています。

■ 使用している窯の種類と焼成方法

店主  :窯はいくつあるのでしょうか?

堂本さん:窯は電気窯が2台あります。

     窯詰も釉掛けも1人で行います。酸化焼成のみを行っており、還元焼成は行いません。

堂本正樹さん工房の2基の電気釜

■ デザインのインスピレーションとスリップウェア

店主  :うつわのデザインやイメージは、どのようにして生まれるのですか?

堂本さん:普段の作陶の中で、ふっと思いついて、作ってみたりしています。

     個展の時には、新しいものを出すようにしています。

     今回、思いついて、できたのはスリップウェア。

     緑青に、黒の顔料の泥が反応して、色が変わる面白さに魅せられています。

スリップウェアの堂本正樹さんのうつわ1
スリップウェアの堂本正樹さんのうつわ2

■ 使用している土とその使い分け

店主  :土はどこの土を使われているでしょう?

堂本さん:すべて信楽の土を使っています。

店主  :作品によって、土を変えたりされていますか?

堂本さん:釉薬の種類が増え、それに対応するため
     赤土と白土を使い分けて使用しています。

     釉薬の種類によっては、白土のほうが安定しますね。

■ 特にお気に入りの作品は?

店主  :今まで作ってきた中で一番気に入っておられるものはありますか?

堂本さん:う~~ん。。どれもいいけれど、形が面白いコンポートは好きですね。

形が面白いコンポートの堂本正樹さんのうつわ

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