【作家訪問】陶処 風|山本直毅さん|赤土と白化粧が織りなす、力強く美しい器の世界

山本直毅 作家法網

神戸市西区の自然に囲まれた工房、『陶処 風』で、山本直毅さんと奥様・綾子さんの器づくりに触れてきました。
赤土と白化粧、釉薬、還元焼成が生む独特の風合い。
その工程とこだわりの現場をじっくり拝見。器に込められた物語をご紹介します。

目次

信楽作家市で出会った「理想のおどんぶり」

山本直毅さんとの出会いは、2022年5月の信楽作家市。
お客様のご要望で探していた「大きなどんぶり」との出会いがきっかけでした。

山本さんのブースで見つけた器は、まさにイメージ通り。

それ以来、陶和では長らく完売が続く人気の作家さんです。

山本直毅 どんぶり

工房で迎えてくださったあたたかなお人柄

2025年10月1日、久しぶりに山本さんの工房を訪ねると、温かく迎えていただき、2階のショールームへ案内していただきました。
現在、奥様の綾子さんも一緒に作陶されており、お二人の作品が並ぶ工房『陶処 風』は、静かな森に囲まれた穏やかな空間です。

月に一度オープンされる工房には、訪れる方も多いそうです。

山本直毅さんの代名詞「赤土×白化粧×還元焼成」

山本さんの器といえば、赤土に白化粧を施し、釉薬をかけて還元焼成した、焦げ感のある男前な佇まい。
特に七角鉢や台形皿は厚めの「たたら成形」で作られ、重厚な存在感と土の力強さを感じさせてくれます。

それでいて、重ねて収納できる使いやすさも魅力。
色合いは白・黒・青の3色展開で、シンプルながらも奥深い美しさを持っています。

こだわりの工程と独自の焼成方法

使用されているのは、伊賀荒目の赤土。
成形後に白化粧をかけて素焼きし、その後、独自調合の釉薬をかけて本焼き。
釉薬のかかり具合の濃淡によって焦げ感や窯変が生まれ、最終的に還元焼成で仕上げることで、より深みのある表情になります。

さらに山本さんの器は、裏側にも釉薬を一面に施しているのが特徴。

これは器の表情をより一体的に見せるための工夫であり、本焼き時には棚板にくっつかないよう道具土を挟み、1260度で焼かれています。

奥様・綾子さんの器は優しさに満ちた佇まい

奥様の綾子さんの作品は、同じ土と釉薬を用いながらも、どこかやわらかく、女性らしいラインが印象的。
今回はスープカップと一輪挿しをいただいてきました。

同じ素材でも、手から生まれる作品はそれぞれ異なる表情を持ちます。
ご夫婦それぞれの個性の違いを、ぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです。

3台の窯で生まれる器たち

最後に、工房の窯場も案内していただきました。

3台の大きな窯のうち、1台はちょうど焼成直後で熱気が残る状態。
白化粧がかけられた素焼きの作品たちが並ぶ姿は、完成形を想像させてワクワクします。

釉薬を施した後は、本焼きの工程へ。

焼成時には高台部分に道具土を挟むことで、棚板との接着を防ぎつつ、裏面まで美しく仕上げられます。

器に宿る作家の想いを感じて

焼成の工程やこだわりをうかがった後に器を手に取ると、作品が語りかけてくるような気がします。

使いながら思い出すのは、作家さんの笑顔や話してくださったひとつひとつの言葉。

その出会いがあるからこそ、器への愛着もひとしおです。

山本さんのうつわは少しですが店頭にも並んでおります。
ぜひ手に取ってご覧ください。


最新情報はうつわギャラリー陶和のLINE公式で

友だち追加

オンラインショップ

山本直毅 作家法網

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次