2025年11月22日から30日まで、うつわギャラリー陶和で「吉村尚子 × 廣川みのり 二人展」を開催。
作品を通じて互いを知り尊敬し合ってきた二人の陶芸家が顔を合わせ、語り合う中で生まれた展示テーマと、それぞれの作品の魅力をご紹介します。
出会いと三人の対談
陶和で2025年12月に開催予定の二人展。
吉村尚子さん、廣川みのりさんと最終の打ち合わせのため、訪問しました。
当初は伊賀と信楽、それぞれの工房を順に訪ねる予定でした。
けれどもまだ会ったことがないおふたりが「せっかくならぜひ一緒に話そう」ということになり、廣川みのりさんが吉村尚子さんの工房を訪れることに。
お二人は以前から作品を通じてお互いをよく知り、その表現や作風に尊敬の念を抱いていらっしゃいました。だからこそ、直接顔を合わせて語り合えるこの機会をとても楽しみにされていたのです。
そうして迎えたこの日、店主も交えて工房での三人の対談が実現しました。
古民家を改装した吉村尚子さんの工房
大阪から車で1時間半弱。高速を降りてだんだんのどかな風景が広がる自然の中、吉村さんの工房があります
以前2017年にお訪ねしたのは伊賀市内の工房でした。
今回は古民家です。
大きな工房にはたくさんの陶芸道具に交じって作りかけの作品も。
お訪ねした日はまだまだ残暑が厳しく暑く感じられましたが、工房にはきっと冬には欠かせなくなるのだろうと思われるストーブがありました。


女性三人の談笑と陶芸談義
吉村さんの工房で、女性三人が集えば話も自然と弾みます。
陶芸のことはもちろん、日々の制作や暮らしについても話題が広がり、笑い声が絶えません。
特におふたりは作家同士だからこそ分かち合える感覚や経験にうなずき合い、私はそれに耳を傾け、気がつけば1時間以上の長居に。
作品づくりに真剣に向き合いながらも、温かく親しみやすいお人柄が感じられるひとときでした。



対談から生まれた展示テーマ
談笑と陶芸談義の中で、自然と今回の展示テーマも形になっていきました。
それは 「人が集うこの時期に使いたいうつわ」。
冬は家族や友人が集い、食卓を囲む季節。そこに寄り添う器を届けたい――そんな想いが二人の言葉から重なり合いました。吉村さんの端正で深みのある作品と、廣川さんの自由で華やかな器。
その響き合いが、きっと冬の食卓を豊かにしてくれることでしょう。
吉村尚子さん ― 象嵌と掻き落としの世界
伊賀の自然に囲まれた古民家工房で制作を続ける吉村尚子さん。
代表的な技法は「象嵌」と「掻き落とし」。
- 象嵌は、器に彫り込みを入れ、異なる色の土を埋め込んで模様を浮かび上がらせる技法。
- 掻き落としは、表面を削って異なる色を出し模様を描き出す、象嵌とは正反対の発想の技法。
これに筆を使った染付も加え、立体感もあり色の深みも感じる吉村さん独特の器ができあがっています。


今回、象嵌の模様に掻き落としを施す繊細な作業を目の前で拝見。
息をのむような緊張感に、改めて「ひとつひとつ手仕事で生まれる器の貴重さ」を実感しました。
廣川みのりさん ― 自由な発想と色彩のうつわ
吉村さんの工房を後にして、信楽に・・・
寄せていただいた廣川さんのギャラリーには、ご主人の廣川純さんによる土鍋も並び、陶芸一家ならではの賑やかな空間が広がっていました。
お二人の個性的で魅力あふれる器の数々。陶和もそれぞれお付き合いいただいています。


その中でもみのりさんといえば、自由に描かれる上絵。
惜しげもなくいろいろな絵の具を使い見事な絵柄を楽しませてくれるうつわが人気です。
特に、乳白色の手触りの良い素地に花の庭を描いた器は、陶和でも人気の高いシリーズです。
また、みのりさんはオブジェの制作もお得意、奇抜な発想と色使いで想像が膨らむ作品を作られます。
ギャラリーにもたくさん並んでいました。
今回の企画展でも遊び心のあるワインカップやポットなど、見る人の想像を拡げてくれるような作品を出品していただく予定です。
今からとても楽しみです。



展示会情報
吉村尚子・廣川みのり 二人展
会期:2025年11月22日(土)~30日(日)
会場:うつわギャラリー陶和
※詳細は決定次第お知らせいたします

