【作家訪問】北側雄一さんの工房へ|端正なフォルムと豊かな釉薬表現が魅せる器たち

2025年5月29日、京都に工房を構える北側雄一さんを訪ねてきました。
3月にあべのハルカス近鉄で開催された『日常を彩るうつわ展』でお会いして以来、実際に工房を訪れてお話を伺える日を心待ちにしていました。

美しく整った工房と静かに回るろくろ

北側さんの工房は、ご自宅の一角に。
中に入ると、きちんと整理された作業台と2台の電動ろくろが迎えてくれました。工房の奥には電気窯が1台。今やフル稼働だそうで、「もう一台ほしいですね」と笑っておられました。

温かな人柄が滲み出る工房空間で、ゆったりとした時間が流れていました。

陶芸を志したきっかけ

お話を伺うと、大学卒業後、京都の陶工高等技術専門校で本格的にろくろ成形を学ばれたとのこと。

「若いころに美術館で見た天目茶碗に衝撃を受けて。何か手を動かす仕事がしたいと思っていた中で、陶芸体験に参加して…土をこねて形にする楽しさ、あの天目茶碗の記憶がよみがえって、陶芸の道へ進むことを決めました」

と、目を輝かせながら語ってくださいました。

土へのこだわりと繊細な肌合い

北側さんの器は、裏を見るとまるで磁器のようにサラリとした質感。
「磁土が入っているのかな?」と思っていたら、

信楽の目の細かい陶土100%なんです。ざらつきが少ない、なめらかな土を使っています」

とのこと。見た目以上に手ざわりが軽やかで、日常使いにもぴったりです。

北側雄一さんの工房で並ぶ作品

釉薬とフォルムへの美意識

代表的な釉薬は、「蕎麦釉」「黒釉」「白砂(しらすな)釉」の3種。どれも窯変(ようへん)が美しく、見る角度や光の加減で表情が変わるのが魅力。

そして、器のフォルム。訓練校で培った正確なろくろ技術により、ピシッとした端正な仕上がり。その中にも、「輪花」や「綾花」など、やわらかさと遊び心が感じられるシリーズが並びます。

実際にろくろを回していただいた時の、迷いのない手の動き。
何度見ても見惚れてしまうほどの美しさでした。

一器一器が語りかけるような存在感

どの器も、完成されたフォルムの中に唯一無二の“景色”が広がっていて、私はまるで絵画を眺めるような感覚で楽しませてもらいました。
釉薬の変化がもたらす深みと表情は、手に取るたびに新たな魅力を見せてくれます。

高い技術力と受賞歴

日本伝統工芸展近畿展をはじめ、数々の展覧会で入選されている北側さん。
釉薬の美しさ、器の構成力、そして仕上がりの美しさが多くの審査員の心を掴んできたことがうかがえます。


作品は実店舗とオンラインショップでご紹介中

今回の訪問では、いくつか素敵な作品をお譲りいただきました。
実店舗およびオンラインショップでも、ご紹介しています。

「手にした人の日常に、少しだけ静けさと美しさを届けたい」
そんな北側さんの想いが伝わってくるうつわたちを、ぜひご覧ください。


北側雄一さん 略歴

  • 1982年 大阪府生まれ
  • 2007年 京都府立陶工高等技術専門校成形科 修了
  • 京焼の職人、陶芸館講師などを経て、2019年に独立
  • 日本クラフト展、大阪工芸展、日本伝統工芸展近畿展など多数入選
  • 2023年、京都に工房を移転
    ▶公式HP:https://kitagawa-yuichi.com/

北側さん、貴重なお時間をありがとうございました。
今後のご活躍もとても楽しみにしています。


▼北側雄一さんの作品を見る



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