伊賀の閑静な住宅街にある、吉村尚子さんの陶房へ
三重県・伊賀市。
のどかで静かな住宅街の中に、作家・吉村尚子さんとご主人の濱田さんが営む陶房があります。
以前、大阪で一度お会いしていた吉村さん。もっとゆっくりと作品を拝見したいとお願いして、今回はご自宅に伺わせていただきました。
玄関をくぐると、どーん!と目に飛び込んできたのは、制作途中の大きなオブジェ。
まさに“作陶の現場”にお邪魔していることを実感します。
表情豊かな作品に、確かな技術が宿る
吉村さんの作風は、実にバラエティ豊か。
力強さを感じさせる板皿があれば、使い手に寄り添ったやさしい形の器もあり、そのひとつひとつから技術の高さが伝わってきます。
どの作品にも共通して感じるのは、吉村さんの“まったり”とした優しい空気感。
飾らず自然体で作られているからこそ、見る人の心にもすっと馴染んでいくような魅力があります。
魅了される「シルバースカイ」シリーズ

中でも目を引いたのが、吉村さんの代表作とも言える「シルバースカイ」のシリーズ。
外側には何層にも塗り重ねられた銀彩、内側には透き通るような青磁の青。
そのコントラストが本当に美しく、思わず見とれてしまいます。
この銀彩は一つひとつ丁寧に工程を重ねて仕上げられており、手間ひまがかかっているのがひと目で伝わってくる繊細な仕事。
使うのがもったいなくなるほどの豪華さで、まさに宝物のようなうつわです。